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労働基準監督署の調査に行ってきました。

労働基準監督署の調査と対応

~労務リスクの予防に取り組んでいるサロンをご紹介~

日本列島が猛暑に見舞われた今夏。

とあるサロン様に一通の文書が届きました。

 

「労働条件に関する個別調査の実施について」

 

送り主はサロン様を管轄する労働基準監督署です。

文面から想像するに、労働基準監督署が任意に事業所を選び実施される定期的な調査(定期監督)といったニュアンスでした。

 

調査について、以前まではサロンオーナー様のお手を煩わすことのないよう、私共が単独で労働基準監督署を訪問し代理対応をしておりました。

 

ただ、敏感なオーナー様は昨今の労務問題を企業の重要なリスクと捉え、一つ一つ問題を解決しようと努力されております。

私共も常日頃、「労務問題が発生してからでは手遅れ。予防することが企業存続の為には重要です」とお話をさせて頂いていることもあり、今回はオーナー様もご同行を頂き監督署の調査に臨みました。

 

監督署から調査当日に持参するよう指示があったのは次の書類です。

① 就業規則、賃金規程

② タイムカード等労働時間が確認できる書類

③ 賃金台帳

④ 時間外・休日労働に関する協定届

⑤ 雇用契約書(又は労働条件通知書)

⑥ 健康診断の実施に関する書類

⑦ 賃金控除協定書

 

念のため書類を見直し、大きな問題が無いことを確認出来ましたのでサロンオーナー様には「ご安心下さい」とお伝え致しました。

 

さて、7月下旬の猛暑真っただ中、サロンオーナー様と労働基準監督署を訪問です。

「株式会社〇〇と申します。個別調査のお手紙を頂きましたので参上しました。監督官の〇〇様をお願いします」

監督官は女性のベテランの方で、別室にて調査を実施するとのことでした。

この時点では私もサロンオーナー様も余裕しゃくしゃくと言ったところです。

 

別室の中に入ると、定期調査のはずが他に呼ばれている企業の姿は無く、違和感を覚えます。

 

折りたたみの机にパイプ椅子が設置された打合せスペースに着席を促され、着席。

開口一番、監督官から衝撃の言葉が発せられます。

 

「本日は株式会社〇〇様が労働基準法違反をしているのではないかという情報提供がありお呼びしました」

 

「えっ…」私もサロンオーナー様も先程までの表情とは打って変わり、緊張が走ります。

 

厚生労働省は平成27年度からはインターネットを活用した情報の収集・監視をする取り組みを実施しており、労働者からの書き込みを基に労働基準監督署が調査を実施します。

 

今回は、厚生労働省のサイトにある「労働基準関係情報メール窓口」に寄せられた情報が基となっておりました。

(後から伺った話では1年ほど前から情報提供が有り、マークをされていたようです)

 

「事業の内容は?」

「労働者数は?」

「就業規則の作成は?監督署への届出は?」

「時間外・休日労働の協定(36協定)届の作成と届出は?」

 

監督官に笑顔は無く、淡々と労務管理の状況について質問がされます。

厳しい表情から、こちら側の回答に疑惑の念を抱いていることがうかがえます。

 

「本日持参頂いた労働時間が確認できる書類を見せて下さい」

 

こちらが提出した書類は「出勤時間・休憩時間・退出時間・時間外の労働時間・実労働時間」といった内容が詳細に表示されたタイム―シートでした。

 

「これはどのような方法で記録されているのですか?」

「スタッフ個人個人の静脈を用いた認証システムで勤怠管理を行っております」

 

「静脈認証ですか。美容室で導入されているのは今まで聞いたことがありません」

 

サロンオーナー様より、

「たしかに過去は自分も不勉強であった為、労務管理を後回しにしていた」

「会社が大きくなっても、働くスタッフの心が離れてしまえば企業は衰退する」

「「美容師はサービス業だから…」といった甘えではなく、「この美容室に就職して良かった」とスタッフが誇りに感じてもらえるよう、会社として当たり前のことをきちんとやりたい」

コストを掛けてまで静脈認証システムを導入した経緯について監督官にお話を頂きました。

 

「なるほど。静脈認証であれば不正もできませんし、書類の信憑性は充分足りております。改善に取り組まれているようですね」

 

監督官は感心をされたようで、先程とは明らかに表情が異なります。

 

「おそらく、会社側の意図が労働者の方々に上手く伝わっていないことが今回の情報提供に繋がったのかと思われます。せっかく労務管理の改善に取り組まれているのに勿体ないです。スタッフさんとの意思疎通をお図り下さい。」

 

監督官から上記のお言葉を頂き、調査は終了となりました。

 

今回の一件は、サロンオーナー様が労務リスクを未然に防ぐことを重視した取り組みが解決に繋がった好事例でした。

 

「働き方改革」「働き方の多様化」の時代において、企業と働くスタッフのより良い関係構築には、労務問題の予防し、労働環境の改善に取り組み、企業の社会的存在意義を内外に明確にすることが重要です。

 

 

 

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